■Last Week in Crypto(先週のニュース)
1.Introducing Rosetta: Build once. Integrate your blockchain everywhere.
Coinbaseは、Rosetta(ロゼッタ)というブロックチェーン上のオープン規格&ツール(具体的にはAPI)を発表しました。
いろいろなチェーンがRosettaを統合すると、Coinbaseへの上場をより簡単に行えるようになります。さらに他の取引所もRosettaを採用することで、異なるチェーンのトークンの上場や連携がより簡単になります。
現状、各取引所がトークンを上場させるには、ブロックチェーンごとに動作が違う場合は、それぞれのインターフェースを独自に構築する必要があり、時間もコストもかかります。RosettaのようなオープンソースのミドルウェアAPIがあることで、統一され、メンテナンスの負担も軽減され、取引所が新しいトークンをリストしやすくなります。
また上場という話だけでなく、開発者がウォレットやアプリケーションなどを作る際も、異なるチェーンのトークンをより統合しやすくなります。そういった意味でCoinbaseがオープン化しているのは、界隈全体にとって素晴らしいことだと思います。
Coinbaseとともに開発を進めているのは以下のチームですが、Rossettaの統合とともにCoinbaseにリストされる可能性が高いと踏んでいます。
Filecoin
Celo
Near
Oasis
Coda
Ontology
Kadena
Handshake
Blockstack
Sia
2.WBTC.Cafe is now on Mainnet - Ren Project - Medium
Renは、CurveとWBTCと提携し、仲介者やKYCを介さずに、BTC ⇛ WBTCに交換できるサービスの「WBTC Cafe」をローンチしました。ユーザーがWBTCを手に入れることもできますし、DeFiアプリがアプリ上でこの変換を抽象化し、あたかも「ビットコインを利用してEthereum上のプロトコルを使っているように見せる」こともできます。
どうなっているかというと、ネイティブBTCがrenBTCにラップされ、その後Curveの低スリッページの流動性プールを使用し即座にWBTCに変換されます。エンドユーザはこの動きを意識する必要はありません。
以前まで、承認された機関がBitGoを介してのみBTC⇛WBTCに変換することができました。最近はCoinListも同様のサービスを開始しましたが、それでもKYCや第三者機関が必要なのには変わりませんでした。今回のWBTC Cafeは、KYCや第三者機関を経由する必要がなく、WBTCをサポートしているMaker、Compound、AaveなどにBTCから参加できるという点で、EthereumやWBTCにとって大きなステップです。
3.https://compound.finance/governance/leaderboard
CompoundがユーザへのCOMPトークン配布を開始しました。Compoundへ預けたユーザ、借りたユーザに均等に配布されます。
配布開始の直後に、UniswapでCOMP-ETHペアの取り扱いが始まりました。1COMP=$80ほどで取引されていましたが、流動性は当然ひくく供給側(売る側)もいないというのもあり、価格はあがり続けました。また4日後にCoinbaseでの上場が発表され、1COMP = $200 を超える状態にもなり、時価総額はMakerDAOを超えました。
Compoundの2つの資金調達ラウンド(シードで$ 8.2 million、シリーズAで $25 million)から考えると高い感じがあります。今後価格が急落しユーザにとってCompoundを使う動機が弱まり、借り手も貸し手も少なくなるという状況も想定しておくと良いと思います。
4.Polychain Capital, Square Crypto’s Steve Lee Invest in Bitcoin Broker’s $5.7M Seed Round
ビットコインのブローカー企業River Financialは、Slow Ventures、Castle Island Ventures、DG Lab Fund、Cygni、Pfeffer Capital、IDEO CoLab Venturesなどから、$5.7 millionドルを調達しました。
他のクリプトブローカーとは異なり、ビットコインに特化しています。また富裕層の顧客にもサービスを提供していて、口座開設をサポートするための電話サービスなど、おもてなしサービスを提供しています。
多くのブローカーが一般投資家に目を向けていますが、富裕層の個人むけに絞っている企業はあまりありません。River がそのニッチをとりにいっていて、Riverの顧客の2分3は高齢者層だそうです。最近になって顧客数が倍増している点も面白いです。
ConsenSysのDeFiプロダクトであるCodefiが、ETH 2.0のプロフェッショナルバリデータの提供を発表しました。ステーキングサービスに参入ということになります。このサービスは、取引所、カストディ企業などが、自社でインフラを構築することなく、ETH 2.0のステーキング報酬を彼らの顧客に提供することができます。Binance、Huobi、Crypto.com、DARMA Capita、Trustology、Matrixportなどが、テストに参加すると表明しています。
取引所ベースのステーキングサービスは、32ETHの最低必要ステーク量やロックアップ期間などの障壁をさげることができます。この最低必要量は、多くなる可能性もありますし、取引所のステーキングが増えると集権化が高まる懸念もあります。
しかし、より収益性の高い製品を発売しようとしているConsenSysにとって、納得のできる立ち回り方で、利益率の高いサービスになる可能性があります。
6.https://blog.helium.com/the-peoples-network-a-year-in-the-making-6668ab542502
トークンを使ってIoT用の省エネのネットワークを作ろうとしている Heliumチームが、主製品であるホットスポットとは別に「Helium Tabs」をリリースしました。
Tabsは、位置情報を利用して失くしたものを見つけることができるデバイスで、使っている方もいるかもしれませんが Tileに似ています。Heliumネットワークを使い、BluetoothやWiFiなしで実現できる点が Tileなどより良い可能性があります。
当面の間 Tabsは、Heliumホットスポットの所有者のみが利用可能となっています。
もちろん、そもそもHeliumネットワークがカバーできるエリアを十分に広げる必要があります。Heliumについては、1年前のメルマガ 2019年7月8日号で説明をしていますが、Multicoin, USVなどから$15millionを調達していて、中でもUSVは、以下の写真のようなホットスポット大量に購入しNYCでカバレッジを拡大しています。
似たような例として、PlaceholderVCが、Heliumの競合であるFOAMトークンを大量に購入(投資)しステーキングしています。こちらは機械ではなくトークンですが、似たようにNYCでのカバレッジを広げています。FOAMはしばらく進捗が公表されていなかったものの、先週ハードウェア第1号がNYCに設置されました。
またハードウェアに加えて、Cosmos上でブロックチェーンを作っています。
7.Bitcoin Miner Maker Ebang Estimates $2.5M Q1 Loss in US IPO Update
中国に拠点を置くビットコインマイニングメーカーのEbangは、修正F-1フォームを提出し、ナスダックへの上場を申請しました。IPOの開始価格は、1930万株の募集に対して、4.50~6.50ドルの間になると予想しているそうです。つまり、$86 - $125 millionドルの資金調達を目指しています。EbangのIPOが完了すると、米国ではCanaanに次いで2番目の上場マイニングメーカーになります。
8.https://blog.bancor.network/bancors-response-to-today-s-smart-contract-vulnerability-dc888c589fe4
自動マーケットメイカーの元祖である Bancor は新しいバージョンアップデートをしましたが、脆弱性がありました。このバグにより、攻撃者が5000万円以上のユーザー資金(ロックされている資金)を盗むことができてしまう状態にありましたが、コアチームがホワイトハック攻撃におこない、資金は保持されました。
過去にもBancorは$13.5 millionドル流出しています。最近のDeFiプロダクトやプロトコルの成長には目を見張るものがありますが、DeFi はまだ攻撃が定期的に起こる前提でいたほうが良いと思います。
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