Ethereumテストネットのマージ
先週書いたEthereumのマージの進捗についてですが、Ropstenテストネットでのマージ予定日が、6月8日で決定しました。
うまくいけば、その他のテストネットのマージも6月、7月に実施されるため、だいたい先週の回で書いたようなスケジュールとなりそうです。
今おこなわれているPermissionlessカンファレンスでも、メインネットのマージは8月頃になるかもしれないと開発者たちが話しています。
またEth Shanghai Summitでは、Vitalikが「Ethereumのマージは8月に実施される可能性があり、潜在的なリスクがある場合は 9月や10月になるかもしれない」と発言しています。
ということで、今年中に実施されるのはかなり現実的になっています。
■ Last Week in Crypto
1.Tally Labs’ $12m Fundraise: The Who, What, When, Where, Why.
Web3メディア企業Tally Labsは、$12Mドルを調達しました。
投資家には、a16z crypto、Sterling VC、Dapper Venturesなどが参加しています。
Tally Labsは、Bored Ape Yacht Clubのキャラクターが登場するメディアを作るNFTコミュニティ「Jenkins the Valet」を運営しています。
このNFTコミュニティの最初の出版物として、小説『Bored and Dangerous』が作られていて、ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー作家のニール・ストラウス氏が執筆しています。
この本は、NFTホルダーがストーリーの方向性について投票で決めることができ、2022年の2Qに出版される予定です。
また今後新しいキャラクターが出たり、コンテンツが作られるたびに、コミュニティが交流できるようにするソフトウェアやアバターを開発していく予定になっています。
このようなコミュニティ参加型で創作していくアプローチは、以前書いた『Blitmapにみる未来のエンターテインメント』で書いたBlitmapと似ています。
そんなBlitmapは、まもなくローンチ1周年ということで、『Logos』という新しいNFTコレクションを出す予定になっています。そしてそれらのキャラクターが登場する「マンガ」が発売される予定で、NFTホルダーには無料で配られるそうです。
マンガは、英語版と日本語版の2つが出るらしく、英語以外の言語が日本語だけというのに驚きました。
マンガというものが日本文化だからなのか、日本コミュニティが尽力してるからなのかは分かりませんが、その両方が影響したのかと思います。NFTと創作物の未来を考える上でもぜひ読んでみたいと思っています。
2.QuestBook raises $8.3 million to help web3 developers secure funds
QuestBookは、$8.3Mドルを調達しました。
Lemniscapがリードし、Coinbase Ventures、Alameda Research、Dragonfly、Hashed、Polygon、Balaji Srinivasan氏、Raj Gokal氏などが参加しています。
QuestBookは、プロジェクトが助成金(グラント)を提供するためのプラットフォームを運営しています。オンチェーン情報やGitHubの履歴などを使って審査して、プロジェクト側の負担の減らす役割があります。
現在はPolygon、Aave、Near、Harmonyと協力し、グラントを配布する手助けをしています。
グラントの他にも、開発者がクリプト関連の仕事を見つけやすくするように取り組んでいたり、ガスレスのトランザクションができる独自ウォレットを開発しています。
Sagaプロトコルが、$6.5Mドルを調達しました。
投資家は、Maven 11、Longhash Ventures、Hypersphere、Figment、Polygon Studios、Samsung NEXTや、Zaki Manian氏、Jae Kwon氏などのエンジェル投資家が参加しています。
Sagaは、IBCを利用したCOSMOSエコシステムのプロジェクトで、アプリ特化のブロックチェーンを立ち上げられるようにするプロトコルです。
このアプリ特化のチェーンは「チェーンレット」と名付けられていて、開発者のニーズに合わせてカスタマイズできます。
そしてSegaの約20台のバリデーターが、それぞれのチェーンレットのトランザクションを検証し、セキュリティを担保します。Polkadotのシェアード・セキュリティのモデルと類似しています。
カスタマイズ可能な実行レイヤー + セキュリティを共有できる、という意味で、最近のモジュラー式ブロックチェーンの流れにのったプロジェクトと言えます。
ゲームとエンタメのチェーンが最初の注力としているようで、来年のはじめにメインネットとトークンをローンチする予定です。
4.Blockchain gaming firm Azra Games raises $15 million in seed funding led by a16z
ブロックチェーンゲームのスタートアップであるAzra Gamesは、$15Mドルを調達しました。a16zがリードし、NFX、Coinbase Venturesなどが参加しました。
Azra Gamesはゲーム(コードネーム:Project Arcanas)を開発しています。このゲームはRPG要素を持つSFファンタジーで、NFTを集めたり、軍団を作って戦って報酬を得たりすることができます。
また今後数ヶ月以内に、ゲーミフィケーション機能をもつ最初のPFP(プロフィール画像)のNFTリリースすることも発表しています。
ちなみにArza創業者は『Star Wars: Galaxy of Heroes』を率いていたゲームディレクターです。
a16zのゲームファンド
ちなみに、この投資案件と同時にa16zは、ゲーム特化のファンドを立ち上げるために$600Mドルを調達したことを発表しています。
この新しいファンドは、
「次の世紀にわたって、私たちがどのようにソーシャル化し、遊び、働くかを定義する上で極めて重要な役割を果たす」
とブログ記事で書かれてて、まずゲームスタジオに焦点を当てた投資を行う予定です。またゲームプレイヤーのコミュニティやゲームインフラにも投資する予定になっています。
5.Aave's backbone for decentralized social media, Lens Protocol, goes live on Polygon
分散型ソーシャルメディアのプロトコルLens Protocolが、Polygonブロックチェーン上で稼働を開始しました。段階的なローンチになっていて、以前ツイートに反応したアドレスがこのフェーズで利用できるようです。
そしてLensプロトコルを利用したソーシャルメディアの1つがLensterで、以下のような機能を試すことができます。
主な機能
以前も触れたことがありますが、簡単に機能についてまとめます。
プロフィールNFT
プロフィールがNFTになり、ユーザが作成した全ての投稿、コメント、コンテンツの履歴が含まれます。
フォローNFT
誰かをフォローすると、フォローNFTを受け取ります。使い方としては例えば「先週の時点までにあるDAOをフォローしているアドレスは、ガバナンス投票に参加できる」とか「エアドロップを受け取れる」などの使い方もできると思います。そういう権利が出ると、市場で取引がされるかもしれません。
パブリケーション
写真、音楽、動画などを投稿し、共有することができます。
コレクト
フォローしている人のパブリケーションを集めることができます。今後ユーザが価格を設定して売りだすことができるようです。
ミラー
リツイートのような機能です。レベニューシェアの機能がつき、宣伝したコンテンツが売れたらその一部を受け取れるようになるようです。
6.Hackathon organiser and web3 incentive platform DoraHacks raises $20 million
ハッカソンの主催企業であり、Web3インセンティブプラットフォームであるDoraHacksは、$20Mドルを調達しました。
FTX VenturesとLiberty City Venturesがリードで、Circle Ventures、Gemini Frontier Fund、Sky9 Capital、Crypto.com Capital、Amber Groupが参加しました。
調達した資金は、分散型グラントコミュニティDora Grant DAOと、Dora Infinite Fundの立ち上げに使われます。このファンドは2022年後半にNFTドロップをし、ローンチされる予定です。
7.Meta files five trademark applications for 'Meta Pay' teasing crypto and digital payment platform
Meta社(旧Facebook)が『Meta Pay』に関連する商標を申請した、という記事です。
Meta Payの申請内容をみると「暗号通貨、トークンの金融取引と交換を可能にする投資家のためのソーシャルネットワーキングサービス」などと記載されています。そのためレンディングや投資サービスなども加わるかもしれません。
8.Crypto Wallet BitKeep Raises $15M at $100M Valuation
ウォレットのBitKeepは、$15Mドルを調達しました。
Dragonfly Capitalがリードし、KuCoin Ventures、A&T Capital、SevenX、Bixin Capitalなどが参加しています。
モバイルウォレットとChromeエクステンションのブラウザウォレットをだしていますが、Ethereum、Solana、BNB Chain、Polkadotなどの複数チェーンに対応しています。
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☕ バックナンバー:
#230 Bspeak! 2022年5月16日号 Ethereumマージはいつ頃か?
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#228 Bspeak! 2022年5月2日号 Optimismのトークン
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以降もSubstackのアーカイブからご覧ください。