■Last Week in Crypto
1.UMA — Announcing the Yield Dollar on renBTC
UMAとRen Protocolがパートナーシップを発表し、ビットコインを担保にしたステーブルコインを発行できるようになりました。
以前説明を書いた通り、UMA上で発行されるステーブルコインは、yeild dollarで「yUSD」という名前でしたが、UMAのuをつけて「uUSD」という名前に変わりました。これは満期日に1ドルで換金可能になる合成資産です。満期までの間は、市場の需要に合わせて価格が変動します。今回の提携により、Renプロトコルを使ったEthereum上のBitcoinトークンである「renBTC」を担保にして、uUSDを発行(ミント)できるようになったということになります。
※今発行できるものは10月1日が満期になるため、トークンの名前は「uUSDrBTC-OCT」になります。
現在、UMAとRenプロトコルは流動性マイニングのキャンペーンをしているため、uUSDをBalancerプールにデポジットする人は、UMAとRENの報酬を得ることができますが、プール自体がBalancerのホワイトリストにも入っているので、BalancerのBALトークンも報酬として得ることができます。
wBTCと比べると、renBTCはまだ利用度が少ない点を考慮する必要がありますが、誰かに頼まず(パーミッションレス)にBTCをEthereum上で動かせる方法が多くなってきました。
## サマリー
RenBridge でBTCをrenBTCにラッピングする。 もしくはUniswapなどのexchangeでrenBTCを得る。
UMAのツール からrenBTCを担保にuUSDを発行する。
Balancerプールに uUSDとUSDCのペアをデポジットしてBAL + REN + UMA を得る
※戻す際はm満期の前にプールから引き下げ、uUSDを償却し担保のrenBTCを取り返し、BTCに戻す
2.C.R.E.A.M. Launches on Binance Smart Chain | by Cream Finance | Cream Finance
C.R.E.A.M.(Cream.finance)がBinanceスマートチェーンで稼働しました。CreamはCompoundのフォークで、Ethereum上でレンディングを行うことができますが、今回の統合により、BNB、BUSD、BTC、ETH、XRP、BCH、LTCというEthereumチェーン上以外のトークンも利用できるようになります。
Binance スマートチェーンはEVM互換を持つのでMetamaskで設定をすることができます。これは今月ローンチするAvalancheも同様に互換性を持ち、Polkadot、Cosmos等も取り組んでいます。以前ツイートしましたが、新興のスマートコントラクト・チェーンに関しては、Ethereumと競合(Ethereumキラー)になるよりは、いかにEthereumと互換性をもたせてEthereumフレンドリーになれるかが重要になってきています。
ちなみにCreamでは、トークンを預けて利回りとCreamトークンの報酬を得ることができますが、高い利回りの以下のような方法もあります:
1)ステーブルコインをCurveのステーブルコインプールに預け入れ、yCRVを取得
2)yCRVを Curveの Yプールに年利40~90%で預け入れ、yyCRVを取得
3)yyCRVをCreamに預け入れ
4)yyCRVを担保に USDCを借り入れ(Cream上)
5)そのUSDCで、yCRVに預け入れ
※開始から2ヶ月稼働していてCompoundのフォークとはいえ、コントラクトのリスクはあるので、推奨するものではありません
3.1inch partners with TRON for JustSwap and Mooniswap integration
分散型取引所(DEX)アグリゲータである1inch.exchangeが最近立ち上げたEthereum上の自動化マーケットメーカー(AMM)Mooniswapが、TRONのチェーンを統合しました。統合の一環として、TRONはMooniswap上の流動性提供者に追加のインセンティブとしてTRON(TRX)トークンで報酬を与えることも計画しています。TRONベースの分散型取引プロトコルであるJustSwapも1inchのアグリゲータに統合されています。
1inchは先日トークンを発行・配布することを発表していますが、まだ詳細は明らかになっていません。リーガル面の確認と開発面の進捗を待っている段階だそうです。また先日$2.8Mの資金調達をしましたが、さらなる資金調達を計画しています。
長い間トークンなしでユーザを獲得してきたプロジェクトなので、トークンを絡めて今後どのような方向を目指しているのか、個人的に気になっています。予測するのは難しいですが、より開発者側に使われるプロトコルの開発や、異なるガバナンストークンをまとめる(メタガバナンス)などに力を入れて1inchトークンを組み込んだら面白いと思っています。NEARとも関わっているようなので異なるチェーンのアグリゲーションという方向もあります。
USDCを開発する企業Circleのプレスリリースです。企業がCircleのPaymentAPIを統合すると、80カ国以上に、現地の法定通貨での支払いをできるようになります。
以前までは、Circle Wallets APIを使ったUSDCのトランザクションで、最終ユーザに対してドルでの支払いしかできませんでした。今回の新機能を使用によって、支払いを受け取る側が、現地通貨で受け取るか、USDCで受け取るか選ぶことができます。このような「摩擦の少ない価値の移転」は間違いなくニーズがあり、取り組んでいるプロジェクトが多くあります。
少し前に触れた perpetual protocol が、トークンの配布を行いましたが、Balancer上の新しい仕組みのプールを利用しました。プールのウエイトが時間とともに変化し、その間に注文がなければ価格が徐々に下がり(画像でいうと灰色の曲線に沿って下がり)、ダッチオークションのような形になります。この方式だと、初期に買うと割高になるため、一気に買いが入って価格が一気にあがってしまうことを避けることができます。
このメルマガ配信時ではこのイベントは終わり、通常のBalancerプールとして交換がされますが、Uniswapを使ったIDO(例: UMAのIDO)と比べて初期の加熱がだいぶ抑えられています。
6.DeFi protocol Linear Finance raises $1.8 million to launch cross-chain synthetic asset exchange
香港に拠点をおく Linear Finance が、クロスチェーンの合成資産取引所を開発するために $1.8Mドルを資金調達しました。今回の資金調達ラウンドは、NGC Ventures、Alameda Research、Hashed、CMS Holdingsなどがリードしています。Binanceスマートチェーンと別のブロックチェーン上で合成資産を作って交換するためのプロトコルを開発します。
7.Tether launches on Solana blockchain
Tetherは、Solanaブロックチェーン上でUSDTの発行を開始しました。スピードもそうですが、手数料で大きな利点があります。Ethereumは特に最近Gas高騰が顕著になっていて、最近の平均手数料は1txあたり約2-3ドルですが、Soalanでは0.00001ドルでUSDTを利用できます。
Tether(USDT)は現在、Algorand、Ethereum、EOS、Liquid 、Omni、OMG Network、Tron、Solana上で流通するようになりましたが、近々、別の3つのブロックチェーンに統合される予定になっています。
8.Square launches consortium to pool patents and shield against 'lockup'
Twitter創業者ジャック・ドーシーがCEOである決済企業Squareは、暗号通貨(特にBitcoin)にアクティブな企業として知られていますが、今回クリプト技術の特許を蓄積するライブラリを作成し、そのための会員組織(コンソーシアム)を発表しました。名前はCryptocurrency Open Patent Alliance (COPA) で、すでに会員の募集が開始されています。
Squareによると、参加企業が「クリプト関連の技術をオープンソース化し、出し合ってプールにまとめ、成長企業を邪魔するような著作権の利用をしないことを約束する」ことによってクリプト界隈を成長させることが目的になっています。会員企業がお互いの特許を利用することができ、特許攻撃者から防御することができます。
9.Binance puts up $100 million to attract DeFi projects to its new blockchain
Binanceは、Binanceスマートチェーンに開発者やプロジェクトを誘致するための新しいイニシアチブを発表しました。総額$100M(約100億円)規模のファンドです。参加者はこのプログラムを通じて最大10万ドル(約1000万円)の資金支援を得ることができます。
DeFi系のプロジェクトをメインとしているようですが、仮に最大額の$10万ドルを全企業に支援するとしても、1000プロジェクトが対象になります。確かに私の観測上でも、Binanceスマートチェーンを採用したり接続するプロジェクトやGithubの提案も増えているので、Binanceが力技でDeFiプロトコルに台頭しよういう姿勢が見えます。0xのGitHubレポジトリでもBinanceスマートチェーンでDEXサポートをしたらどうかという提案がありました(コアチームからの提案ではありません)。
Mastercardは、中央銀行がデジタル通貨システムを評価できるようにするテストプラットフォームをローンチしました。このプラットフォームは、銀行や金融サービス側、また利用者が連携して、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)の発行→流通→交換をシミュレーションでき、異なるな種類のCBDCのユースケースを評価できます。
11.Crypto Exchange Kraken Returns to Japan After Two-Year Hiatus
2018年4月に日本市場から撤退した取引所 Kraken ですが、2年ぶりに日本で運営をすることになりました。同社によれば、日本の子会社であるPayward Asia Ltd.が暗号資産交換業者として登録され、9月中旬にサービスの提供を開始する予定です。最初は、BTC、ETH、XRP、BCH、LTCの取引のみを取り扱う予定になっています。
12.Huobi Launches Crypto Saving Products to Compete With DeFi Yield Farming
取引所Huobiは、USDTとBitcoinを預けると、それぞれ8%と3.5%の年利回りが得られる貯蓄の商品を発表しました。この動きはBinanceと同様です。
また新規ユーザーを獲得するために、最初の1週間は高い年率を提供し、かつ合計で30,000 USDTも分けて配布することになっています。やっていることはDeFiプロトコルが流動性提供者にトークンを配布しているのと同様で、オンチェーンで記録し配布しているか、オフチェーンで実施しているかどうかの違いです。今後も取引所がプロトコルの利用を代行し、預かりや法定通貨とのゲートウェイでサービス提供するという動きが多くなっていくと思います。
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