■ Last Week in Crypto
1.Community, Meet $AUDIO. Don’t just own the masters.
音楽ストリーミングプラットフォームのAudiusが、$AUDIOというトークンを発行しました。
音楽業界は年間430億ドルの収入を生み出していますが、実際のアーティストにはそのうち12%しか行き渡っていません。これを解決しようというのがAudiusのビジョンで、現状の月間70万人以上のアクティブユーザーがいます。
今回出された$AUDIOトークンは主に3つの機能があります。
1. セキュリティ
ネットワークの安全性を確保するために、ノード運営者に$AUDIOがステークされます。ステークが多いほど、そのノードがファンやアーティストに利用される確率が高くなります。ノードは誰でもなれるため、コミュニティによって運用されるプラットフォームとなります。音楽ライブラリはIPFSにホストされ、プラットフォームリスクの少ない・止まらないストリーミングプロトコルを目指します。
2. 機能アクセス
$AUDIOは追加のアーティストツールを使うための担保にも使われます。現時点の例として、アーティストトークン、バッジ機能、収益倍率などがあります。将来的には、
・ユーザが音楽トラックをキュレーション/モデレートして$AUDIOを稼ぐ
・Audiusの上に独自のアプリやツールを作って$AUDIOを稼ぐ
ということができます。
3. ガバナンス
他のチェーンと同様ですが、ステークされた$AUDIOに応じてガバナンスの権利が割り当てられ、プロトコルの意思決定に利用されます。例えばAudiusの新機能やアップグレードへの提案、投票などです。将来的には、ネットワーク内で発生した手数料をプールし、その用途や助成金を渡すコミュニティプロジェクトを決めるガバナンスが行われる予定になっています。
ちなみにHandshakeコミュニティでしか知られていませんが、Audiusチームは『.Audius』 というHandshakeドメインを持っていて、すべてのアーティストにサブドメインを提供しています。
例えば、rac.audius/にアクセスすると、RACのページに遷移します。もしHandshakeドメインを見れるブラウザをもっている人(またはリゾルバを入れている人)は、URL欄に rac.audius/ といれてアクセスしてみてください。
プロトコルやサービスにおいて 『.ユーザ名 + .プロトコル名』をタイプするだけで利用できるという方向は活用できそうです。
例えば今でもGoogleが 『.new』というドメイン(Handshakeではなく通常ドメイン)を取得しているので、URL欄に『doc.new』と打ち込めば、新規でGoogle docが立ち上がります。
同様にスプレッドシートやスライドは、sheet.new、slide.newで開くことができます。このメルマガの原稿を書くときも、毎週 doc.new とタイプして新規ファイルを立ち上げています。
このような『.サービス+ .命令』とする使い方を、Handshakeドメインであればより柔軟かつ検閲耐性をもったまま実現できます。
2.Anchorage partners with Tokensoft to bring wrapped layer one assets to Ethereum
カストディ事業者Anchorageとトークンセール・プラットフォームTokensoftが共同で、トークンをラッピングして発行・償却するサービス Wrapped を開始しました。
Anchorageで担保トークンが保管され、wrappedトークンが発行されます。そして最初の資産として、Ethereum上のZcashである wZEC(wrapped ZEC)が発行されました。
もちろん集権的なサービスなのでAnchorageを信頼する必要はありますが、最近レイヤー1のチェーンが多くローンチされてトークンも発行されているため、需要が高まる可能性があります。
ここで発行されるwrappedトークンは、ERC1404標準に準拠しています。これはTokensoftが主に提案・開発している規格で、必要なコンプライアンスに準拠しながら、転送ができるトークンです。最近SECに登録してIPOを行ったINXトークンもこの規格のトークンを利用しています。
リリースによると現状は Handshake(HNS)、Avalanche(AVAX)、Celo(CELO) のトークンがEthereum上で利用できるwrappedトークンが検討されています。
Tokensoftは元々セキュリティトークンを志向してこの規格を開発しているため、将来はエクイティ(株式)などもトークン化していくだろうと思います。
Yield Protocolが、verison1を稼働させ、同時にアプリケーション The Yield App も発表し、DAIの固定金利レンディング市場がローンチしました。
このプロトコルにより、発行された時間と満期日に応じて、固定金利でDAIを貸し借りできます。
アプリではDAIを貸し出すことで、fyDAIと呼ばれるDAIの利子付きトークンを受け取ることができます。このfyDAIは「fixed yield DAI」の略で固定金利分付きのトークンと表します。“fy” の部分は “fire” と発音すると記事にあり、『ファイヤDAI』と読みます
The Yield App上で現在提供されているのは以下のような満期日のfyDAIです。
2020年10月31日
2020年12月31日
2021年3月31日
2021年6月30日
2021年9月30日
2021年12月31日
需要に応じて金利が変動するCompoundとは異なり、固定金利レンディング市場になります。上記はYield Protocolチーム自身が作成をしていますが、プロトコルなので誰でも自分で作ることができます。以前書いたUMA上のyUSD(現状のuUSD)もこのYield Protocolを利用しているように、許可の要らない(パーミッションレスな)材料というわけです。
4.DeFi Audit Firms Swamped by 'Overwhelming Demand'
DeFiのコントラクト監査の依頼が殺到しているという記事です。今年に入ってから、監査されていないDeFiコントラクトへの攻撃を考えれば、DeFi系プロジェクトのコード監査の依頼が殺到しても不思議ではありません。
面白いのは、DeFi市場が失速し、ほとんどのトークンが下落しているにもかかわらず、コード監査需要が未だに多い点です。
OpenZeppelinは、すでに2021年1Qまでクライアントの予約がされていて、内容としてはまだガバナンストークンのクローン(コントラクト)への監査依頼多いそうです。Quantstampに至っては、申込数が多いため大半をリジェクトしているそうです。
Digital Currency Group(DCG)が年次レポート「State of Crypto」を出しました。DCGの投資先の創業者とCEOが対象のアンケート結果になっています。
回答や考えをピックアップすると:
業界の持続的な成長の阻害要因/リスクとして、回答者の51%が「コンプライアンスと規制」を挙げている
2020年最も強気なクリプト業界の発展は何だったか?という質問に対して、「DeFiの成長」が一番に挙げられている
DeFiの急上昇を2017年のICOバブルと比べたとき、当時より人材も増え倫理性も高くなっている、と考えている
新興スマコンチェーンが強いコミュニティを構築する前に、Ethereumがスケーリングするかどうか(つまりEthereumがこのまま支配的なチェーンであり続けるか)、という問に対しては、回答者の51%が「はい」と答え、残りが「わからない」「いいえ」と答え、2分されている
今後6-12ヶ月のBTC価格の予想として最も多い回答(48%)は「$10,000-$15,000」
6.PayPal to open up network to cryptocurrencies
日本でも大きな話題となりましたが、Paypalが2021年上半期にBitcoinやその他のクリプトの対応をすると発表しました。
ユーザは暗号通貨を購入でき、オンラインウォレットに保存、そしてPaypal加盟店で利用できるようにする計画です。また、Paypal参加のVenmoでも、2021年前半にクリプトのサポートする計画です。Venmoは米国では若者を中心に多く使われている送金アプリです。
しかし当面の間は、ユーザーに秘密鍵へのアクセスや、暗号通貨を転送する機能は提供しません。これに関しては、しっかりとしたマネロン対策ができてからになると思います。
またIRリリースには、Paypalが中央銀行と協力する道を模索しているとあり、中央銀行のデジタル通貨に拡大もしていきたいように読み取れます。
この発表のあとBitcoin価格は10%ほど上がりました。Bitcoin強気の兆しについては先週の分もご覧ください。
以前、概要を説明したThe Graphがトークンセールを実施し、$12Mを調達しました。KYC部分は上記で登場したTokensoftのサービスを利用し、資金の受け入れと配布の部分はスマートコントラクトで自動で行われました。このコントラクトはKYC済(ホワイトリスト内)のアドレスのみを受け付けるようになっているなど工夫がされていて、一昔前に比べてセールも洗練されてきていることを感じます。
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