今週の市場コーナー
クリプト全体が下がっていますが、BTCが今後の流れを決める大事な局面にいるように見えます。9月みたように、BTCの取得価格別のグループの今の状況をみてみます。
これをみると、前回のサイクル後半に高値づかみしたグループ($91k以上で買った人たち)が、時間による投げ売りで、引き続き売却しているのがわかります。
また、長期保有者が持っているBTC供給(5ヶ月以上保有している層)を見てみると、長期保有者の売りが続いています。これはどういうことかというと、高値づかみした勢が、長期保有のカテゴリに入り、引き続き売っている、と考えられます。
そしてその売りを77,000〜91,000ドルの価格帯で買い手が吸収しています。この吸収している層は、まだ長期保有者のカテゴリには移っていないため、「長期保有者の供給量」を見ると、引き続き減少しているとなります。
前回サイクルでは、長期保有者の供給量が上向きに転じるまで、安値からほぼ5か月かかっています。今回は2026年6月30日のサイクル安値から、ちょうど4か月が経っています。
BTCと株式市場の相関
またここ最近はBTCと株式の相関は小さくなってきています。これも前回サイクルの初期と似ていて、当時BTCはサイクル安値から約6か月間、ナスダックを上回りました。
こうした時期にクリプトと株の相関が崩れるのは、クリプト側の「売り手の枯渇」が原因といわれています。つまり高値掴み勢が、時間とともに投げ売りし、それが長期保有者にうつるためです。こういったホルダー層が入れ替わったあとに、BTCが次の流動性拡大を先取りし(他のアセットよりもさきに織り込み)、クリプト全体が強気サイクルに向かっていく、という歴史があります。
■ This Week in Crypto
1.Dataline raises $10.6 million for decentralized data network for AI agents, plans ICO
AIエージェント向けの分散型データネットワークを開発するDatalineが、シードで10.6Mドルを調達しました。
LatticeとSamsung系のDispersion Capitalが共同でリードし、Symbolic Capital、Coinbase Ventures、Anagram、RobinhoodのCEOであるVlad Tenev氏などが参加しています。
Datalineは、AIエージェントが必要なときにデータを取得し、その都度支払うことができるネットワークです。オンチェーンとオフチェーンの両方のデータをカバーしていて、開発者は1つのプラットフォームからAIエージェントを各データソースにつなぐことができます。
またAIを使ってデータの信頼性・新しさ・一貫性をスコアリングし、エージェントがそのデータを信用してよいかを判断できるようにしています。例えば「$0.97のステーブルコイン」が割安なのかデペッグの始まりなのかは単純な価格フィードでは判断できないため、ペグの安定性や取引所間の乖離といった文脈をあわせて提供する、というアプローチです。
すでに稼働していて約50のデータソースをカバーしていて、Hyperliquid、Polymarket、Kalshi、Base、Robinhood Chain、BNB Chain、Sui、TONなどが最初のパートナーになっています。
年内にトークンをローンチ予定で、Base上でUniswapのContinuous Clearing Auction(CCA)を使ったパブリックセールを行う計画です。詳細は来週発表予定とのことです。
トークンはネットワーク内の支払いやアクセスに使われ、データ提供者はデータ提出時にトークンをステークし、データが却下されるとスラッシュされる仕組みになっています。
ちなみにDatalineは、もともとTearlineという名前のプロジェクトで、2026年5月にリブランドしています。
2.Bitcoin yield platform HoneyB developer raises $5 million at $30 million valuation
ビットコインの利回りプラットフォーム「HoneyB」を開発するNectar Groupが、シードで5Mドルを調達しました。評価額は30Mドルで、SAFEとトークンワラントの形になっています。
Portal Venturesがリードし、Peer Venture Partners、Anchorage Digital Venturesなどが参加しています。
HoneyBは、ビットコイン保有者が利回りを得るための仕組みで、「ビットコインと資本市場をつなぐオーケストレーションレイヤー」と位置付けられています。
最初の戦略では、ユーザがビットコインを担保にステーブルコインを借り、それを米国債・債券・クレジット・金・ボラティリティ・オプションなどの利回り戦略に投資します。担保のビットコインは、オンチェーンのスマートコントラクトか、借り手・貸し手・カストディアン(Anchorage Digital、BitGo)の三者契約で保管されます。
裏側の投資商品は年10%程度のリターンを目指していて、借入コストや手数料を差し引いた後に、ビットコイン建てで年2〜4%の利回りを目標にしているそうです。
2026年Q4に米国外の機関投資家向けにローンチ予定で、2027年Q1にはリテール向けの商品も予定しています。
元Palantirのエンジニアが立ち上げたMuralが、シリーズAで15Mドルを調達しました。Tetherがリードし、North Island Venturesが参加しています。累計の調達額は28Mドルになります。
Muralは、企業向けの国際送金プラットフォームを開発していて、米ドル、現地通貨、ステーブルコインを1つの口座で保有・管理できるようにします。顧客は給与プロバイダー、ソフトウェア企業、フィンテックなどで、彼らがその上に金融プロダクトを作ることができます。
AIエージェントが日常的に金融サービスを扱うようになるという見立てのようです。
Solana上のレバレッジ・利回りプロトコルであるHyloが、ストラテジックラウンドで$1Mドルを調達しました。
Solana Venturesがリードし、Colosseumや、Heliusの共同創業者Mert氏、JupiterのCOO Kash Dhanda氏などのエンジェル投資家が参加しています。
Hyloは、リキッドステーキングトークンを担保にした分散型ステーブルコイン「hyUSD」と、SOLに対して2〜4倍の可変レバレッジを持つトークン「xSOL」を発行するプロトコルで、清算リスクなしでレバレッジと利回りを得られる設計になっています。
今後は、レバレッジトークンの対象を、クリプトから、利回り資産・株式・コモディティへと広げていく計画です。
5.Tenstorrent Announces a $1.5B Series E at a $6.2B valuation
AIコンピューティング企業のTenstorrentが、シリーズEで1.5Bドルを調達しました。
Trace CapitalとInnovation Xがリードし、TetherやARK Invest、Fidelity などが参加しています。
Tenstorrentは、RISC-VベースのAIプロセッサとシステムを開発する企業で、CEOはApple やTeslaのチップを手がけたJim Keller氏です。1枚のカードやワークステーションから、ラック、スーパークラスター、カスタムIPまで、同じアーキテクチャをあらゆるサイズで提供しているのが特徴で、ソフトウェアスタックはオープンソースになっています。
今回の資金は、Galaxyサーバーの大規模展開と、SamsungやLGなどのチップ設計企業にライセンスしているAI・CPU IPの開発に使われます。
AIエージェント向けのメモリインフラを開発するLighthouseが、追加のストラテジック調達を発表しました。
これまでの投資家には、Walrus Foundation、Protocol Labs、Fenbushi Capital、NGC Ventures、LongHash Venturesなどが名を連ねています。
Lighthouseは、もともとFilecoinとIPFS上の永続ストレージサービスですが、現在はAIエージェント向けの「持ち運べるメモリ」に軸足を移しています。
ChatGPT、Claude、Codexなどのツールをまたいで、保存したコンテキストを共有・検証できるようにするもので、ストレージレイヤーはIPFS、Filecoin、Walrusの上に作られています。
10月14日には、Virtualsを通じてトークン「LLL」がRobinhood Crypto上でローンチされています。
7.Fireblocks denies report of $2.5 billion acquisition talks with Visa
VisaによるFireblocksの買収交渉についての記事です。
Axiosが、Visaがカストディ・ステーブルコインインフラ企業のFireblocksを約2.5Bドルで買収する最終段階の交渉に入っていると報じました。これに対してFireblocksは「現時点では事実ではない」と否定し、Visaはコメントを控えています。
Fireblocksは、2022年1月のシリーズE(550Mドル調達)で8Bドルの評価額がついていたため、報道通りであれば大幅に評価額を下げての売却になります。
Visaは8月にZerohashと提携してVisa Directでステーブルコインの入出金に対応し、ステーブルコイン決済額が年率換算で20Bドルを超えたと発表しています。ライバルのMastercardも8月にステーブルコインインフラ企業BVNKの買収(最大1.8Bドル)を完了していて、決済大手によるステーブルコインインフラの取り込みが続いています。
8.Starknet community overwhelmingly backs research into becoming an independent post-quantum Layer 1
Starknetが、EthereumのL2から独立した耐量子L1への移行を検討するいう話がでてきています。StarknetのSTRKホルダーによる7日間のSnapshot投票で、投票力の93.5%以上が移行の研究に賛成しました。2,800以上のウォレットが参加していて、StarkWare自身は投票していません。
背景には量子コンピュータへの対応があります。Starknet自体はハッシュベースの暗号で作られていて、アカウントはプロトコルを変更せずに耐量子署名を採用できますが、ブリッジとデータ可用性(DA)をEthereumに依存しているため、Ethereumが耐量子化しない限りStarknetも耐量子化できない、というのが問題意識です。
StarkWareのCEOであるEli Ben-Sasson氏は、Ethereumの「2029年」という目標は遅すぎると述べていて、Starknetは2027年の耐量子化を目標にしています。11月にホワイトペーパーのドラフトを公開し、実際に移行するかどうかは、あらためてSTRKホルダーの投票で決まります。
どちらの道を選んでも、STRKはネイティブトークンのままで新しいトークンは発行されず、Ethereumとのブリッジも維持されるとのことです。
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