フィジカルAI向けの分散型データインフラ
#447 Bspeak! 2026年8月3日号
EFと周辺組織
Ethereum Foundation(EF)が、Pascal Caversaccio氏を新しいボードメンバーに任命しました。これでボードメンバーは4名になります。
この人は、Ethereumのセキュリティグループ「SEAL 911」の共同創業者で、セキュリティの専門性と、サイファーパンク文化やプライバシーに関する発信でも知られています。
最近EFが発表した「The Ethereum Cypherpunk Manifesto」の著者でもあります。
ちなみに既存のボードメンバーとしては、Aya Miyaguchi氏、Vitalik Buterin氏、スイス法律顧問Patrick Storchenegger氏です。目的は「EFの中核を守るセキュリティカウンシル」として機能するとされています。
前にもかいたとおり、EFは人員減らして再編をしていますが、その後、EthLabs、Ethereum Institutional、EthSystemsなどの組織が立ち上がっています。
先週は、このEthereum Institutionalが資金を調達しました。金融機関でのEthereum普及をすすめる組織で、非営利団体のため、おそらく寄付による調達なのだとおもいます。
BitMine、SharpLinkなどがメインの支援者となり、Uniswap、Aave、Circle、Chainlinkなど100以上のエコシステム参加者が、資金や専門知識などで支援しています。
今後、銀行、資産運用会社、フィンテック企業などがEthereumやL2上で、トークン化やステーブルコイン、また金融システムをつくるときの「中立的な窓口」となることを目指します。
今週の市場コーナー
先週はFOMCがありましたが、利上げはありませんでした。しかし市場は、Fedが年内(おそらく9月)に利上げする可能性を織り込みはじめています。
AI関連株を中心とした投機の過熱がピークをつけた可能性は高く、株式市場のほうが先に悪化し、BTCもつられて前回の底値を下回る可能性があります。
反対に、経済全体が利上げに耐えられるなら、BTCの底値はすでにつけた可能性が高まります。
Clarity法に関しては、大手金融機関がこぞって支持を表明するなど、かなりの進展はありますが、直近の締め切りラインである8月7日までの上院可決の可能性は低くなってきています。予測市場をみても確率は過去最低の水準に下がっています。
しかし休会に入る前のギリギリに逆転が起きる可能性もまだあり、今週がその最後の週になるので、何度も話題になると思います。
いずれにせよ、8〜9月がクリプト市場にとってサイクルのターニングポイントになりそう、という見方は変わっていません。
■ This Week in Crypto
Axis Roboticsが、$12Mドルのシードラウンドを調達しました。Hack VCがリードし、Nomad Capital、Pi Network Ventures、10K Venturesやエンジェル投資家が参加しています。
Axis Roboticsは、フィジカルAI(ロボットAI)向けの分散型データインフラを開発しています。
LLMがインターネット上の大量データで学習できるのに対し、フィジカルAIは学習用データの不足が大きな課題になっています。
特徴は、ブラウザ上で誰でもロボットの動作データ(テレオペレーション)を生成できるプラットフォームで、世界中の人がデータ生成に参加できます。すでに10万人以上が参加していて、毎月1,200時間以上のシミュレーションデータと2万時間以上の実世界データを収集しているとのことです。
調達資金は、ロボットAI訓練用のデータ生成技術の強化と、グローバルなデータネットワークの拡大に使われます。
2.Birdai Labs Raises $4 Million to Return Onchain Trading Value to the People Who Create It
Birdai Labsが、$4Mドルのシードラウンドを調達しました。Castle Island Venturesがリードし、Metalayer VenturesやThe Venture Deptが参加しています。
Birdai Labsは、ブロックチェーン上でのトランザクションを「測定・検証・改善」するインフラを開発しています。
注文と約定の間のギャップで、トレーダーが生み出した価値が奪われているにもかかわらず、それを測る基準も取り戻す方法もない、という問題の解決を目指しています。いわゆるMEVのインフラです。
トランザクションのタイミングや順序付けを把握することで、トランザクション実行の改善をオンチェーンで証明可能にし、利用者に価値を還元する仕組みをつくる予定です。
3.Kraken parent Payward acquires Magic Labs’ embedded wallet business
Krakenの親会社であるPaywardが、Magic Labsの組み込みウォレット事業を買収することで合意しました。
Magic Labsはこれまで6,000万以上のウォレットを作成し、polymarketでも使われていたことど有名でした。今回の取引は事業売却の形になっていて、このウォレット事業の顧客はPayward側に移管されます。
Magic Labs自体はNewton Labsとしてリブランドし、オンチェーン金融向けの認可レイヤー「Newton Protocol」の開発に専念します。これは、コンプライアンス、セキュリティ、リスクポリシーをトランザクションのオンチェーン決済前に適用する仕組みで、2026年6月にメインネットβが開始されています。
4.Why We Invested: Samyak Jain, Founder of Fluid
AppWorksが、レンディングプロトコルFluidへの投資を発表しました。
AaveUniswapなどのプロトコルはそれぞれ流動性が分断されていて、ローンを担保している1ドルは、同時にDEXのLPポジションにはなれません。
しかしFluidは、同じ担保がローンを担保しながら取引の流動性も提供できるようにします。
成⻑戦略は、すでにユーザを持つところと組む形をとっていて、Solana最⼤のアグリゲータJupiterとは収益を折半する「Jupiter Lend」を⽴ち上げ、BNB Chain最⼤のレンディングプロトコルVenusも「Venus Flux」を通じてFluid上で稼働しています。
5.Robinhood’s prediction markets top crypto and equities revenue in Q2
Robinhoodの2026年Q2決算で、予測市場(イベントコントラクト)の収益が、クリプトと株式の取引収益を上回りました。
これは個人的に予想外の数字でしたので、とりあげています。
イベントコントラクトの収益は$156Mドルで、クリプト取引の$100Mドル(前年同期比38%減)、株式取引の$129Mドルとなっています。
Robinhoodは2024年の大統領選で予測市場に参入し、KalshiとInteractive BrokersのForecastExからイベントコントラクトを調達しています。
また6月には、Susquehanna International Groupとのジョイントベンチャーとして、CFTCライセンスを持つ取引所・クリアリングハウス「Rothera」をローンチしています。
6.Perceptron raises $6.5M to build decentralised AI data network
Perceptronが、$6.5Mドルのストラテジックラウンドを調達しました。Sigma Capital、Selini Capital、QCP Capital、P2 Ventures、CoinDCX Ventures、Walrus Foundation、Aethirなどが参加しています。
Perceptronは、分散型のAIデータネットワークを開発しています。
世界中の参加者の帯域や独自データ、専門知識をひとつのメッシュに集約し、AI企業が高品質なデータセットを数日で調達・検証できるようにすることを目指しています。
すでに80万以上のノードがオンボードされていて、TelegramやDiscordのコミュニティを起点に、デイリーアクティブユーザは30万人を超えているとのことです。
調達資金は、AI企業がコミュニティに特定のデータセットを直接発注できる「データクエスト」プラットフォームのローンチや、コントリビューター向けツールと報酬インフラの拡充に使われ、長期的には500万ノードのネットワークを目指すとしています。
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