mevとリステーキング
先週Manifold Financeというプロジェクトが、MEVに注力したLiquid Stakingのプロダクトを今後数ヶ月でローンチするというのを見つけました。
ユーザがETHをステークすると「mevETH」というトークンを受け取ります。この「mevETH」は通常のステーキング報酬に加えて、MEVによって生まれた追加の利回りを得ることができるようになるそうです。
どのようなアクティビティでMEVを狙っていくかについて、まずはETHとmevETHの価格差をアービトラージするそうです。さらにManifoldがValidatorを運用するため、色々なMEV戦略を導入し、利回りを高めていく予定になっています。
またmevETHは、LayerZeroを使い、L2など色々なチェーンにネイティブで発行されるため、ネイティブに異なるチェーンブリッジができ、ラップトークンが必要ありません。
将来的には、EigenLayerを使って mevETHトークンをre-staking(リステーキング)できるように取り組むそうです。これによって、ETHステークホルダーは、(1)Ethereumのブロック報酬 + (2)MEV報酬 + (3)リステーク報酬を得ることができるようになります。
EigenLayerのリステーキングについては、2ヶ月前に書いたものを読んでいただければと思いますが、ちょうど先週テストネットが公開され、stETHやrETHをリステーキングすることができるようになっています。(Goerliテストネット)
テストネットのstETHやrETHは入手の方法はこのドキュメントで説明されていて、入手したあとEigenLayerでリステーキングを試すことができます。
今後話題になっていきそうなので、試しておくと良いと思います。
■ Last Week in Crypto
1.Introducing Astria: The Shared Sequencer Network
Astriaというプロジェクトが$5.5Mドルを調達しました。Maven 11がリードし、1kx、Delphi Ventures、Lemniscap、Robot Ventures、Figment Capitalなどが参加しています。
Astriaは「共有シーケンサーのためのブロックチェーン」です。アプリ固有チェーン(ロールアップ)がAstriaに接続することで、検閲耐性をもち、ロールアップ間のコンポーザビリティを持つことができます。
Astriaを使うロールアップでは、トランザクションの順番付けと、トランザクションの実行が分離されていて、
トランザクションの順番付け → Astriaのチェーン
トランザクションの実行 → アプロ固有のロールアップ
となります。
またこの調達と同時に、Astriaのシーケンサーをつかった最初のロールアップ 「Astria EVM」 を発表していて、DAにはCelestiaを利用する予定になっています。
ちなみに最近この「シークエンサーの分散」というトピックは、EthereumやL2エコシステムで議論され始めていますが、Espressoも分散シークエンサーに注力していくようです。そしてここでもEigenLayerを利用していく予定になっています。
まとめると、
AstriaはCelestiaエコシステムのアプリチェーン向けに
EspressoはEthereumエコシステムのL2向けに
それぞれ分散シークエンサーを提供していく予定だと言えます。
2.Satsuma launches with $5M from Initialized, Archetype, and OpenSea
インデックスのプラットフォームのSatsumaは、$5Mドルを調達しました。Initialized CapitalとArchetypeがリードで、OpenSea、Y Combinator、Homebrew、South Park Commonsなどが参加しています。
Satsumaは、ブロックチェーン上のデータを整理して、検索しやすくします。
例えば、DEXで取引されているトークンの価格や、プロトコルにロックされた価値などのデータを参照しやすくし、アプリやプロトコルがそのデータを簡単に利用できます。
すでにDecentraland、Aragon、Syndicate、SuperFluidなどが利用していて、収益をここ最近で大きく伸ばしているそうです。
インデックスのプロトコルであるThe Graphと比べると、クエリの応答やインデックスの速度が速い点を売りにしています。
現状Satsumaはホスティング型のサービスであって、分散型プロトコルではありませんが、The Graphも元々ホスティング型のサービスで使われてから分散型ネットワークに移行したことを考えると、Satsumaも同じように分散ネットワークに移行してトークンを組み込む可能性もあります。
3.Next-Generation DeFi Platform M^ZERO Exits Stealth Mode With $22.5M Funding Round
M^ZEROというプロジェクトが、シードで$22.5Mドルという大きな金額を調達しました。
Pantera Capitalがリードし、Road Capital、AirTree、Standard Crypto、ParaFi Capital、 Distributed Capitalなどが参加しています。
詳細は明らかになっていませんが、機関投資家のためのDeFiインフラを開発しています。
既存のDeFiプロトコルへのコネクターとして機能するようなことが示唆されています。またガバナンストークンの配り方は、機関投資家を最初のターゲットにするかもしれないと言われています。
4.DeFi Hub Nibiru Chain Valued at $100M After $8.5M Seed Funding Round
Nibiru Chainは、$8.5Mドルを調達しました。
Tribe Capital、Republic Capital、NGC Ventures、Original Capitalなどが参加しています。
Nibiruは、Cosmosエコシステムのブロックチェーンで、DeFiのユースケースに特化しています。
Cosmosにつながったチェーンの多くの種類のトークンを、スワップしたり(AMM)、レバレッジ取引やショートしたり(パーペチュアル)、担保にしてステーブルコインを発行(Fraxに類似)することができます。またCosmosエコシステムでの、価格オラクルとしても機能することを目指しています。
Nibiruチェーン自体は、インセンティブ付きテストネット後に、今年の夏メインネットが出る予定です。
5.LayerZero reaches $3 billion valuation in Series B funding round
LayerZeroが、$120Mドルを調達しました。
a16z Crypto、Sequoia、Circle Ventures、OpenSeaなど多くの投資家が参加しています(リード投資家なしでの調達になっています)。
LayerZeroは出始めたときにBspeak!で書いたことがありますが、異なるブロックチェーン間でメッセージングをするプロトコルで、トークンのブリッジなどが可能になります。
また最近は oNFT(Omnichain NFT)という規格で、NFTのブリッジもサポートしています。
今回の調達資金を使って、アジアとゲーム分野への拡大することが次の目標となっています。
6.Polychain Leads $15M Funding Round for Crypto Startup Polyhedra Network
ZKPを使ったインフラ Polyhedra Networkが$15Mドルを調達しました。
Polychain Capitalがリードで、ABCDE、Sparkle Ventures、HashKey Capital、Foresight Ventures、Kucoin Ventures、NGC Ventures、Arcane Groupが参加しています。
Polyhedraは、ブロックチェーンの相互運用性やプライバシーのためのインフラを開発していて、最近zkBridgeというブリッジをローンチしています。
現在は異なるチェーン間で、NFTのブリッジやメッセージの送信ができます。
今後はzkBridgeのサポートするチェーンを増やたり、アプリ開発者のためにAPIやSDKを開発する予定です。
7.Crypto Startup Li.Fi Raises $17.5M in Funding Round
流動性やブリッジのアグリゲータLi.Fiが、$17.5Mドルを調達しました。
CoinFundとSuperscryptがリードになっています。
Li.Fiは、異なるL1 / L2 でバラバラになっている流動性をまとめて、ブリッジやスワップできるようにするAPIを提供しています。
8.Multicoin Leads $4M Strategic Round for Web3 Co-Ownership Platform Lore
NFTを共同所有するプラットフォームLoreは、$4Mドルを調達しました。
Multicoin Capitalがリードで、Seed Club Ventures、North Island Ventures、Balaji、Zeneca、Sfermion、CMT Digitalなどが参加しています。
コミュニティやゲームギルドが、NFTを簡単に共同所有できるようにするプラットフォームです。
NFTを共同所有するだけでなく、資金を分配したり、ロールをふったり、ステーキングしたり、NFTベースのゲームをしたりなどを簡単に行うことができます。そのためソーシャルネットワークの役割も果たしているといえます。
Ensembleというプロジェクトが$1Mドルを調達しました。Collab + currrencyがリードで、Lattice Fund、Builder Capitalなどが投資しています。
Ensembleは、アーティストの創作の過程で生まれたものをNFTにするプラットフォームです。例えば、映画の絵コンテ、デザインのスケッチなどがNFTになり、無料ミントしたり、オークションを実施することができます。
たとえば最初にローンチされた動画では、下に表示されている再生バーの丸印がついているところまで動画をみると、「collect」と表示され、その画面をNFTとして集めることができる、というUXになっています。
10.Crypto Payroll Company Franklin Closes $2.9M Seed Round
Franklinが、$2.9Mドルのシードラウンドを調達しました。Gumi Cryptos CapitalとCMT Digitalがリードし、Arcaなどが参加しています。
Franklinは、クリプトで給与支払いをするためのツールを開発していて、今後は退職金や健康保険の支払いなどもサポートする予定になっています。
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