Matchaのリリース
Matcha(抹茶)というDEXが一般公開されました。0xコアチームが開発をしています。個人として使うにも、とても良い製品だと感じました。
特徴として、ベストプライスで交換することができます。裏側では 0x Mesh、Kyber、Uniswap、Curve、Oasis などの流動性に取引を分割し、交換をしています。
またMatchaやメディアの記事では 「クリプト界のRobinhoodを目指す」というナレーションがあります。Robinhood とは米国で流行っている株式取引のアプリで、Matchaでも初心者がDEXで取引できる、という意味でこのような説明がされています。
ちなみに手数料ですが、最近はEthereum全体のガス代が高いです。Matchaで以下のように内訳を見ると、ディスカウントがされています。これはMatcha内で、ガストークンやメタトランザクションのテストをしているためで、ガス代(手数料)がディスカウントされています。
■Last Week in Crypto(先週のニュース)
1.Copper, Bronze, Tungsten: Tracing the Internet Computer’s Rapid Progress
Twitterで結構話題になっていたように感じますが、DFINITYが、「インターネットコンピュータ」と名付けた分散技術スタックを公開しました。「Tungsten」というコードネームで、今年の年末ローンチまでの5マイルストーンのうちの3番目のものです。
進捗として、DFINITYのネットワークが、複数のデータセンターをまたいで動作するようになっていると発表されています。また、CanCanという、Dfinity上で動作するTikTokと同様のアプリのデモも披露したようです。
これは既存Web 2.0の技術スタックと比較すると効率であり、DFINITYは「1000行以下のコードでCanCanを構築した」と言っていました(比較としてはFacebookは、構築に62,000,000 行のコードを要したそうです)。
次のアップグレードは(コードネーム:Sodium)では、DFINITYが提案しているガバナンスのシステムと、インターネットコンピュータのICPトークン(元々はDFNトークン)の詳細が公開される予定です。単一の企業がデータをすべて所有したり全ルールを管理したりしない構造のアプリの流れが訪れるのは、もしかしたらそう遠くないかもしれません。
2.Global Forum on Transparency and Exchange of Information for Tax Purposes
経済協力開発機構(OECD)からの記事です。世界中の税務当局が、居住者がオフショアで保有する金融口座を8400万件以上の情報を入手し、約11兆ドルもの額になることを明らかにしました。
少し調べてところ、このような世界税務当局の情報交換は、報告基準の一環のようです。各国・法域が金融機関から取得した非居住者の金融口座情報を毎年交換することを義務付けていて、それによってオフショア脱税を少しでも防ごうというわけです。
ちなみに11兆ドルという金額は、Bitcoinや匿名系を含む通貨志向トークンの潜在的な市場とも言えるかもしれません。
マスタリング・ビットコインの著者であるAndreas M. Antonopoulos氏の以下の言葉を思い出しました。
「クリプトは、ポケットの中にスイスの銀行口座ではなく、銀行そのものを自分で持っているようなもので、あなたがそのCEOである。なぜなら、ウォレット(小さなスマホ)に、多数のアドレスとアカウントを作成することができ、国際送金を実施することができるからだ」
“Crypto is not like having a Swiss bank account in your pocket – crypto is like having a Swiss bank in your pocket and you are the CEO. Because on your wallet you can create a million addresses and accounts on your little phone and you can institute international wire transfers.”
以下の動画で説明されています。
3.Creating a Symbiotic Relationship - The Daily Gwei #17 - The Daily Gwei
EIP 1559という提案が可決されれば、Ethereumが使いやすくなると同時に、ETHの価値向上が見込める可能性が説明されています。
EIP1559とは、マイナーにチップを支払うことでトランザクションを優先してもらう機能を維持しつつ、マイナー手数料(ガス代)を払い過ぎることを防ぎます。また基本料金をバーンし、チップだけがマイナーに渡る機能もあります。
記事では「現在はチェーン上のアクティビティがETH価値に付加されていない」と「現在起こっていることは、手数料がユーザとマイナーの間をいったりきたりしていてる」と説明しています。
つまり
・ユーザがETHを買う -> ユーザが手数料を支払う -> マイナーが手数料を取る -> マイナーが手数料(ETH)を市場に売り戻す -> 繰り返し
という構造になっています。
しかし、EIP1559が実装された場合、基本料金がバーンされるため、オンチェーンのアクティビティ(計算、トランザクション等)がETHを希少にし価値を高めることになります。
この提案についてAri Paul氏は、EIP 1559は、Ethereumにとって "make or break"(運命の分かれ道)だとツイートしています。その理由として、今のところEthereumとDeFiはまだ非常に小さいので、早く大きくなってしまうと述べています。
4.Introducing DerivaDEX — a Next-Generation Decentralized Exchange for Derivatives
デリバティブ契約のDEXである「DerivaDEX」が、7-9月中にローンチすると発表されました。このプロジェクトはPolychain Capitalが支援していて、最近になってDragonfly Capital 、Coinbaseなどから $2.7 million を調達しています。
DerivaDEXは、テストネットでのコンテストや流動性マイニングでDDXトークンが配布される予定で、トークンホルダーが意思決定(ガバナンスのプロセス)に参加できます。
DEXはここ最近で出来高が急増していますが、確かに性能さえでれば自分のウォレットから交換できるためより便利です。デリバティブ + DEX(ノンカストディアル)でいえば、dYdXやFutureswapで無期限スワップを使えるため、DEXデリバティブ市場もいよいよ椅子取りゲームの椅子が取られてきた印象です。
Compoundのトークン配布以降、似たような取組みが流行っていますが、DerivaDEXも同様のインセンティブが加わる予定なのでこちらも注文しています。
5.The Graph Raises $5M From Strategic Investors to Decentralize the Query Layer of DeFi and Web3
The Graphは、Framework、ParaFi Capital、Multicoin Capital、Coinbase Ventures、Digital Currency Groupなどのクリプトファンドから $5 million ドルの資金調達をしました。
The Graphは、開発者がEthereumや分散型アプリのデータにアクセスできるようにするインデックス・プロトコルと呼ばれるものです。将来はトークンを使ってガバナンス機能を実現し、ネットワーク手数料の報酬が得られるようにするつもりのようです。
1日あたり5000万件のクエリがThe Graph上で発生していて、2020年5月には、合計で750 million 以上のクエリが発生しています。ブロックチェーンデータのクエリのユースケースが順調だと言えます。
資金調達と将来のトークンのローンチは、まずプラットフォームを構築し徐々に所有権を分散化させるというCompoundと同様の手法をとっています。ユーザも需要もすでにありますから、「所有権の分散化に対してトークンが本当に必要なのか」という議論に対する、別の良い例になると思います。
6.Omen.eth Has Officially Launched
DXdaoの開発する分散型予測市場プラットフォーム「Omen(オーメン)」がローンチされました。暗号通貨、金融市場、世界のニュース、政治選挙などに関する予測市場が利用可能です。
予測の結果の情報をとってくるのに Realit.io と Kleros をオラクルとして使用して、誰でも予測市場を作成することができます。
dxDAOは、コミュニティが管理する組織で、Omenの開発に資金を提供します。コミュニティ型の組織(DAOともいわれます)が今後、製品を出していけるか良いモデルになると思います。また予測市場に関しても、Augurのv2のローンチも今月に予定されており、盛り上がる可能性があります。
7.3,2,1 Blast Off! SKALE Mainnet is live.
SKALEがメインネットで稼働し始めました。開発者が、トークンをステークすることで、dAppsごとに設定が柔軟な独自のチェーンを作ることができ、スケーリングが期待できるスマコンプラットフォームです。Ethereumのトランザクション手数料は、ここ数ヶ月でかなり高い水準になっているので、スケーリングソリューションとして良い時期に出てきています。
現段階のローンチは 3 段階のうちの第一ステップです。
・フェーズ1: ステークス報酬、トークン送信の機能はなく、パブリックにアクセスできない
・フェーズ2:トークンの送信や取引所上場は制限しつつ、ステーキングと新規発行(報酬)が開始される
・フェーズ3:ネットワーク自体がオープンになり機能制限も外される
8.Celo Dollars: Powerful new digital money in circulation
Celo上のステーブルコイン Celo Dollar(cUSD)の発行と送金が可能になりました。CeloはMakerDAO的に発行量をアルゴリズムで調整してドルペグを保つようにし、CELO以外にもBTC、ETH、DAIなどの担保アセットがサポートされています。
長期的にはコミュニティの投票で承認されれば、担保資産のサポートを追加し、ドル以外の別のステーブルコインを発行することができます。
CeloもMakerも、特定の組織や人に頼らずにステーブルコインを発行および価格安定を維持するメカニズムは素晴らしいですが、単純に流通量だけみるとまだTetherやUSDCのような法定通貨を担保にして発行されたステーブルコインが強いです。USDCに関しては先週 発行額が $1 Billionを超えました。
9. US Soccer Players Can Be Collected, Traded in Tokenized Fantasy Game
サッカーゲームとブロックチェーンカードのマーケットプレイスSorareは、Major League Soccer Players Association (MLSPA)との契約を発表し、700枚の選手カードを発行します。この選手カードは、ERC721のNFTです。
現在、毎月約3500人のアクティブユーザーを抱えており、6月の売上高は4000万円ほどになるそうです。最近では、クリスティアーノ・ロナウドの選手カードが59ETH(120万円ほど)で販売されました(Bspeak! 2020年2月24日号の2にて登場しています)。
まだCryptokittiesの収益には及んでいませんが、My Crypto Heroesに近づきつつあります。現時点では、ゲームの開発にあたり遅延や速度の基準が必要でない種類のゲームが、ブロックチェーン上のゲームとして受け入れられやすく、Gods Unchained や Sorare などのカード系は好例です。
10.Augur v2 Launch & REP Migration
予測市場プラットフォームAugurは、新しく改良されたプラットフォームを7月28日にローンチすると発表しました。DAI建てで参加できるなど多くの変更が加えられます。
FTXなどの取引所で予測市場的なデリバティブが提供されるようになりましたが(TRUMP先物契約など)、最も盛り上がる米国大統領選挙の予測は米国市民が規制上参加できないというのが現状です。Augurのような分散型のマーケットはこれらのニーズを埋める可能性があります。
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